じょうがん寺のおたぬきさん

 「じょうがん寺のおたぬきさん」のお話を知っていますか。
屋島に伝わる昔話ですが、道徳の時間に地域教材として活用しました。子どもたちは、秋に屋島山上に遠足に行ったため、とても関心をもって話を聞いていました。
 昔、正直者のおじいさんとおばあさんが、年の暮れなのに餅もつけず、お金も返さなければならないという様子を知ったおたぬきさんが、屋島の海にお金があると兄たぬきから聞き、寒いのに潜って一生懸命探したけれど見つからず、金の茶釜に化けて売られていくことで、おじいさんたちにお金を渡すことができました。金の茶釜を買ったご隠居さんが茶釜を火にかけたため、おたぬきさんはがまんしていたものの、とうとうがまんできずに逃げだし、頭の毛がなくなってしまったけれど、おしょうさんからなぐさめてもらい、鏡餅をもらって心がすっとしたという話です。
 子どもたちは、「海の中は、冷たいけれど、がんばってさがそう。」「火をたかれて熱いけれど、がまんしなくちゃ。」と、たぬきになって気持ちを考えました。「お兄さんたぬきは、どうして海にもぐらんかったんやろう。」という子どもにつぶやきに「寒いけんや」「だって冷たいやん。」と子どもたち。「じゃあ、どうしておたぬきさんは、冷たいのにもぐったの?」と聞き返すと「おじいさんやおばあさんにお金をあげようと思ったんや。」「自分のことじゃなくて、おじいさんたちのことを考えたんや。」とたぬきの優しい気持ちに気付くことができました。また「熱いのに、すぐ逃げ出したらいいのに、なぜがまんしたんやろう?」と聞くと、「おじいさんたちがお金をもらえたから、がんばったんや。」「おじいさんたちのために、熱いけれどがまんしたんや。」とおじいさんたちのことを考えて、自分ができることを一生懸命にしているたぬきの優しい気持ちに気付くことができました。授業後の感想には、「おたぬきさんは、自分のためじゃなく、相手のことを思っていたのが、すごいなあ。私も、おたぬきさんみたいにしたいなあ。」「人の役に立とうと思ってがんばっているのがすごいと思いました。私も親切にしたいです。」という子どもの思いが書かれていました。子どもの心に響いた道徳の時間だったようです。

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