■感染予防の為、各教室や廊下の窓はいつも換気のために開けています。そうすると、いつも以上に様々な動物たちが入ってきます。特に鳥たちは、入ってくると出られなくなったり、閉まっている窓にぶつかったりします。そんな様子を見ていると心が痛みます。
先日も、授業中、ムクドリの雛(ひな)と思われる小鳥が美術の教室に迷い込んできました。連絡を受け、駆けつけると、飛ばずに床に座っていました。怪我をしているのか。これは困った。かつて、メジロが動けなくなり、鳥獣保護センターに連絡したら、捕獲に来てくれことを思い出しました。そこで、さっそく電話連絡。ところが、今回はダメでした。前回のメジロは保護鳥でしたが、今回のムクドリは害鳥だそうで、害鳥を保護することはできないそうです。「同じ鳥なのに」「人間は身勝手だ」と大人げなくやや憤慨しました。憤懣やるかたなく電話の向こうでどうしようと途方に暮れている大人げない私に、保護センターの方は「なるべく高いところで親を待たせては」と優しく提案してくれました。確率は低いですが、少しでも生きる可能性があるのなら、そうするしかありません。仕方なくではあるがきちんと箱に入り、ちょこんと待っていた雛鳥を箱ごと脇に抱え、北館の外階段に連れて行きました。どうか親鳥が迎えに来て一緒に飛んでいってくれますように。そう願いながら3階まで運んだとき、おとなしくしていた雛が突然、甲高い声で鳴き出しました。すると、さらにさらに甲高い大きな鳴き声が空から聞こえてきました。そして、立派な大人のムクドリらしき鳥が私たちのいる階段の周辺に飛んできては、3階と同じくらいの高さの近くの木の枝に止まり、心配そうにこちらを見ます。そしてまた、鳴きながら飛んでは、また止まり。また、飛んでは止まり。その繰り返し。きっと母鳥です。なぜならその鳥が鳴くと、雛鳥が必ず答えるのです。私には母と子が会話しているようにしか思えませんでした。雛「ピーアー」(助けて)、母鳥「ピロロロィーヒロロロョー」(がんばるのよ)と言っている。勝手に通訳していました。実際、ムクドリの鳴き声は、本当に何か特別な言語を話しているような鳴き方をします。私はそのままそっと場を離れました。気になるので1時間ほどして恐る恐る見に来ると、もう二人ともいませんでした。どうなったのか分かりませんが、いろいろと考えるとしんどいので、無事母親の元に戻ったと思うようにしています。それにしても、あの小さな雛鳥くん、人間は怖かっただろうに、今にも泣き出しそうな表情にも見えましたが、終始、胸を張って、誇り高き姿を最後まで崩しませんでした。雛鳥ながら勇敢で立派な態度でした。
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